willy 物語 第三話 身分相応

「えぇと、ウィリーさん?お前は一般人だから無理。」



僕はウィリー!

僕は今、城にいる!!

正確には門の前だけど!!!


リサ姫の花婿に立候補する為に履歴書を作ったものの、送り宛が分からなかった為、直接城へ持ってきたのだ。

しかし今、丁度一般人だからという理由で受け取りを拒否されてしまった。

なんというか、まさに門前払いってやつを食らってしまったようだ。


一般公募じゃないの?」

「あはは!そんな訳ないじゃないですか。」


青筋立てて振り向くと、そこには恐らく王家に仕えているであろう家来のような青年がいた。


「お、怒らないで下さい。でもそりゃそうですよ。」

青年は続ける。

「流石に貴方もご存知でしょうが、アスメリアの王族は元来、血族結婚を行ってきました。しかし近年、その事が原因で王家の血を引く者は身体が弱く短命である事が多くなってしまったのです。聞いてます?」 

「つまり?」

「つまりですね。王家が途絶える事を危惧した国王が、遂に血縁の無い者(身分は王族や貴族に限る)との婚約を認めたのです。」

「じゃあ僕でもいいじゃん。」

「え?」


青年は何処かへ行ってしまった。


その後、花婿募集のHPには花婿となる者は王族や貴族に限るという注意書きが足された。しかし僕はめげずに来る日も来る日も履歴書を渡しに行った。全て門前払いされた上に出禁を食らってしまったが僕は諦めない。



「くそぅ………

うーーーん、何故駄目なのだろうか。

「だから!!!権限が無いって言ってるじゃないですか!!!!!!貴方何回来るんですか!!」

そこには前に出会った様な気がするモブキャラがいた。

「僕の名前はコリンです。以前貴方に注意した家来の青年です!!!」

「あー……あ!」

「協力しませんよ。」

「あーーーーーーーーーー」

「はぁいい加減諦めて下さい。貴方は王族でも貴族でもないんですから。」

「そっか。僕が王族や貴族なら良かったのか。」

「そうですね。立候補くらいは出来たでしょうね。でも現実は違います。さぁもう帰って下さい。」


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「あ、おかえりなさい。ウィリー。」

「ただいま母さん。」


さてと………一仕事するか。